中田文化額装店、略してガクソーはいかにして生まれ、今後何を考えているのかについて、主に教育事業を中心に、NPO化した初年度に説明会を実施しました。

こちらの内容を加筆修正したものを文章で掲載しましたので、文字で読みたい方は以下をご覧ください!

ガクソーのはじまり


(北澤)
遡ると2018年の冬ぐらいになるんですけれど、その時は、僕の友人の末廣くんっていうのがいて、その彼が学校のICT支援員というのをやりながら、珠洲市宝立町で学習塾を開いたんですね。

そこで5人、5-6人くらいかな、生徒さんが来てくださって、で僕もその中の内のひとりを担当していたって形なんですね。

その後、末廣くんは拠点を加賀市に移すっていうことになって塾自体はたたんだんですけど、僕がみていた子だけはずっとその後も見続けていたっていうようなのがありまして、それがその家庭教師のような形で見続けることになったと。

ていう感じで、そこで飯田高校の1年生を教えていて、今年の3月に卒業したんですけど、だからまあ3年間みてたんですけれど。もちろん勉強も、最初は現代文を教えて、国語ですか、古文漢文とか教えつつ最終的には数学を教えて。双子の子だったんですけど、最終的にはお姉ちゃんと一緒にまるっと教えるって感じになっていました。

その時に親御さんの話で、勉強を教えてほしいのもそうだけど、僕らアート畑とデザイン畑といるので、アートの文脈、デザインの文脈みたいなものを子どもたちと関わる中で、キャリア教育というとまたちょっと違うんだけど、いろんな価値観に触れるとか、普段出会えないような大人に会うとか、そういったような環境を整えてあげたいねっていう話になって始まりました。

この物件を借りていろいろDIYをしたり、本も結構寄付いただいたものとか、家具もDIYだったり寄贈いただいたものだったりとか結構あって。ここの大家さんも中田さんっていうんですけど、教育のこととか街のために使うんだったら何してもいいよって言ってくださっていて、とても応援してくださっているって感じで、ほんとに街の人に助けられながら、2年間ぐらいかけてゆっくりやってきました。

この事業自体ビジネスにしようとしていなくて、当たり前のように子どもたちに、子どもたちにというか、まあ僕らも一緒に学んでいきたいんですけど、そういう子どもたちに対する環境を整えてあげたいっていうのがあって。

ビジネスにはあえてせずにやっていきたいというので、できる時にできる人が場を作っていったって感じです。

ガクソーのNPO法人化


で、その約2年間くらいを経て、メンバーである木津の当時の上司の方から紹介していただいた助成金がありまして、その助成金が、認定NPO法人カタリバ 及びNPO法人ETIC.とやっているインキュベーションプログラムの「ユースセンター起業塾」、の第1期生として、2022年1月くらいに採択されました。それは全国13団体(第1期生)あり、金沢にもあったりします。

ユースセンター起業塾っていうのは、子どもたちの居場所づくりのための活動とか資金面・事業面から支援していただく、そういったような起業塾に採択されました。

そこでガクソーはNPO法人としてしっかり形としてやっていこうということで事業になっていきました。それで2022年7月に、ガクソーが正式に立ち上がっていきました。

ガクソーとは


NPO法人ガクソーでは、「考えることと、伝えること」を大切にしています。

自分を受け容れられる居場所で、本気になれる趣味とか、学びの発見、本や人との出会い、そういったものが生まれていく場所になっていけばいいかなと思っています。

ガクソーのメンバーとともに、子どもたちや地域の人、いろんな人の方々と一緒に思い出を作っていく、それが根底にあります。


NPO法人ガクソーの目的は主に2つあります。

まず一つ目は、奥能登に住む子どもたちに対して、教育に関する事業を行い、地域の教育格差を無くし街の未来に寄与すること。

そして二つ目が、地域の人々に対して、まちづくりの推進を図って、すべての人々が健やかに暮らせる地域づくりに寄与すること、この2つをやっていきたいなと思っています。

3つの事業


これらの目的を達成するため、ガクソーは主に3つの事業の柱があります。

一つ目は教育事業です。デザインとアートを中心に、様々なプログラムを企画しています。今日はこちらの教育事業をメインに活動の紹介をしていきます。

二つ目はメディア事業です。こちらは雑誌とか、音声メディア、動画、Webサイトなどのコンテンツを配信していく予定となっています。

三つ目はまちづくり事業です。地域を巻き込んだイベントとか、観光などに関わっていく予定です。

ガクソーの全体感

先ほど伝えた「考えること、伝えること」の全体感についてもう少し説明させていただきます。

これは世の中に溢れているあらゆるコンテンツに対して、ガクソーのメンバーと小中高生が一緒に考える、そして伝える、ことに向き合っていきます。

考えることで、
・アートやデッサンを通じて観察力を養う
・読書をして自分の考えを言語化してみる
・遊んでコミュニケーションについて知る
・人との出会いを通じて多様な考え方を知っていく
そういったような効果や成果を想定しています。

また、「伝える」を中心に、
・デザインで伝える力を身につける
・インタビューやメディア制作をガクソーメンバーとともにやってみる
・ガクソーでの企画を子どもたち自身で運営してみる
といったことをこれから行っていきたいと思います。

ビジネスモデル

ガクソーの全体ビジネスモデル、ここらへんは複雑にみえるかもしれませんが、いちばん大事なことはすべてのコンテンツを愛すること、それに特化したような関係性を構築していくことです。

世の中に溢れるコンテンツを教育の教材にしたりとか、コンテンツに着目して、あらゆるメディア媒体で、ガクソーならではのコンテンツをつくっていきます。

その中で、例えばメディア事業では、地域の企業さんから広告をいただく代わりに、深く取材を行いコンテンツ化しメディアに掲載することで、活動について様々な人に知ってもらえるといった、循環していくようなことを考えています。

教育事業としては、さきほど助成金っていうのがあったんですれど、資金面及び事業面からのご支援を中心に、その他の支援団体からの援助とか、クラウドファンデングとか、皆様のご寄付とかご支援をいただくことで、小中高生に対して、できる限り無料に近い形で教育サービスを提供していきたいと考えています。

ガクソーでの過ごし方

ガクソーではあらゆる機能を持ち合わせています。探究の場として、何か一つの話題に対して、腰を据えてじっくり探究してみたい子には、メンバーがサポートし、あらゆる取り組みを行うことができます。

オープンスペースとして、イベントや作業の場として活用してもらうこともできます。そして奥にはスタジオと編集部があって、音声・映像・収録など配信ができます。こういったように今機材があるので、お子様とか大人の方々でもできるよう設備を整えています。

で、将来的にはここにショップ機能があったり、あとは、もっとここの場所が手狭になってくる、今の段階でもちょっと少し狭く感じるので、工房的な、もっと広々として機材が揃っている工房の場所とかを設けたりしたいなというのを考えています。

ガクソーの教育事業

で、ガクソーの教育事業について、もう少し詳しく紹介していきたいと思っています。

ガクソーでは、定期的にワークショップを開催しています。

夏休みの自由工作をサポートするっていうのを企画しました。その時は小学生2人が参加してくれて、小学校の自由研究や自由工作をサポートしました。

あとは、京都から外部講師のアーティストに来ていただいて「アナログゲーム療育」というジャンルのイベントを行いました。そこでは子どもたちと立体工作を一緒に作ったりとか、あとは、ボードゲームを行ったりとか、あと親御さんとかも来ていただいて、大人も子どもも楽しめる空間になっていて、結構賑やかな感じで、すごくよかったなと思いました。

(北澤)1歳くらいのね、赤ちゃんが来てくれたりね。

(楓)そうね、2人きてくれたりとか、みんなでそれぞれのコミュニケーションがとれてよかったなと思います。

あと寺子屋美術部では、観ること、あと作ることを育むことを中心に、個性に合わせたメニュー及びプログラムを実施していきます。(詳細は後ほど)

そして、デザイン研究会です。観察すること、制作することを中心にプログラムを企画していきます。(詳細は後ほど)

学習塾(現在は学窓部と呼んでいます)では、受験期において必要な学習を指導していきます。ガクソーとして、昨年では群馬大学や北陸大学、長岡造形大学への進学などを実現してきました。デザインだったりとかアート、それだけではない、普通に5教科など。

(北澤)そうだね、国数英もね。

(楓)はい。も、教えています。こちらは少しまた有料メニューになりますが、基本的には個別に合わせたプログラムを組み、計画的に指導を行なっていきたいと思います。

他にはトークイベントや読書会などを実施して、多様な考え方に触れ合えるようなイベントを定期的に開催していきたいと考えています。他にもプログラムを個別に相談しながら、ここにない教室をつくっていきたいです。

例えば、アートとかデザインとか、映像とか音声とか全く関係がない、皆さんひとりひとりの趣味とかを僕らと一緒に学んでいって、教えていただいたり、部活じゃないですけど、つくっていけるとより楽しくなっていくかなと思っています。

教育事業『寺子屋美術部』

それでは、新谷の方から、寺子屋美術部について詳しく紹介していきます。

(新谷)この活動について、詳細をお話ししていけたらなと思います。寺子屋美術部は主に3つの項目で説明していきます。

①視ること、創ることを育む寺子屋
この美術部のコンセプトや想いなど。

②個性に合わせたメニュー
実際どんなメニュー、どんなことができるのか。

③ゆっくりと育むプログラム
どんなスパンや進め方をしていくのか。

まずはこの寺子屋美術部の想いというかコンセプトみたいなことなんですが、

生えてくるモノを大切に。

僕が考えるアートや美術って実際「生えてくるモノ」だなと思っています。生えてくるってどういうことやねんって感じですが、この「生えてくるモノ」については後ほど説明します。

僕が思う日本の美術教育っていうのは「植えられたモノ」っていう位置づけを僕はしていて、先生なり授業なりカリキュラムの中で、生徒や子どもたちにどんどん教え込んでいくんですけども。

「植えられたモノ」だとどうしても正解探しをしているので、こうしたら点数がよくなるとか、こんなのを作ると先生が喜ぶ、になっていく。

そうすると他者の視点で物事をみていってしまう価値観が根付いてしまって、これは貧しいクリエイティビティ、創造性につながってしまうんじゃないかなっていうのが、僕なりにみてきたり、日本の美術教育の問題だなと感じています。そういうところにアプローチしたいというのが僕のこの寺子屋美術部の目的なり想いです。

結論から言うと、「生えてくるモノ」っていうのは、自分の中から見出して、正解探しじゃなくて間違い探しをすること。これ違うなとか、こういうところがいいねとか、そういう疑いの視点みたいなことを見出していくと、子どもたちが当事者として生きる、自分の視点で物事をみていく価値観が根付いて、それが豊かなクリエイティビティなり創造性に繋がっていくなと僕は思っています。

以下、生えてくるモノってなんぞやということを順を追って詳しく説明していきたいと思います。

自分の中の無意識に現れる感情に対して当事者として視る、当事者として創るっていう意識をもって、視ることと創ることを繰り返していくと、自分が何がわからないのか、何に興味あるのか、というのをどんどん深く知っていくことになります。

創るっていうことはよく観察することだし、よく観察するとよく創れるようになるので、それにより自分の中で何がわからないのか、何に興味があるのか、常に自問自答がこう繰り返されていくようになります。

その「何に興味があるか、わからないのか」っていうのが深く知っていくと、当事者として「創る」という意識がどんどんモノなり表現なりに出てきて、

そうするともっとこう表現したいなとか、もっとこういうのが好きなんだなっていう表現にまつわる「芽生え」みたいなものがその子の中で生まれてきて、

また興味対象に対してもっと深く知りたいとか、もっとこういうジャンルがあるのかもしれないみたいな「根差し」みたいなものが生まれる。

そういう芽生えとか根差しみたいなものを僕は「生えてくるモノ」と植物的な表現をしております。

生えてくるモノが生まれてくると、今まで無意識的に取り入れていた情報や感情が、自分が意識的にもっとこういう情報を取り入れていこうとか、この感情はこういうことなのかもしれないなっていうことについて意識的になっていくわけですね。

そうするとこの世界、世の中、社会に起こっていることを、当事者として取捨選択していく、みたいなことが子どもの中で「生えてくるモノ」を通じて生まれる。さっき言ってたみたいな間違い探しみたいな感じなんですけど。

それが自分で「生えてきたモノ」を育てるために植えていく、みたいな。植えられるんじゃなくて、自分の中で生えたモノを植えていく。植えたモノっていうのが、いわゆる僕らでいう芸術作品だったり創作物だったりするんですよね。

無意識で取り入れた情報や感情が投影したとして、それをつくったりみたり繰り返していくと生えてくる。

生えてくると社会の出来事をもっと意識的に捉えるようになる。その中で植えたモノができる。

さらに無意識で社会の中で感受性なり、歳がとっていくにつれて起こることなりをもっとみていく、みたいなループが生まれてくるといいなと。その中で生えてくるっていうことに着目なり大切にしていこうというのが寺子屋美術部ですね。

実際どんなメニューを提供するのかっていうと、大事なのはレベルではなく感性を、ということで。

こちらは、既に用意したものというよりは、そのひとりひとりに合わせた個性・感性・興味対象を、ヒアリングなり親御さんと相談しながら決めていく。

それごとにメニューを設計して、メニューっていうのはテーマみたいなものなんですけど、こんなテーマでつくっていくとか、それを設計してプログラムをさらにつくっていく。

どれくらいのスパンでどんなプランでつくっていこうかみたいな、それを随時修正しながら調整していく。要するに完全にひとりひとりにオーダーメイドでつくっていきますよ、ということです。

実際どんなことをするのかとか、実際どういう意味やねんっていうことなんですけれど。

例えば小学生のAさんがいたとして、立体物を作るのが好きで、動物や花や生き物に興味がある子がいた場合は、いろんな素材を使って動物や花を作ってみよう、課題はそれぞれどんな違いがあるのか自分で検証してみつけてみよう、とか、最終的には動物園みたいな感じで着色したらいいよね、みたいなメニューを一緒につくっていきます。

で、プログラムは、4ヶ月くらいのスパンでじっくりいろんな素材で物を作っていって、途中調べ物とか本読んだりとか散歩したり、観察する日、調べたり、みたいなことをして。素材によってこの動物は作りやすいなとか、この素材だったら花は作りやすいなとか、こっちだったら虫がかっこよくなるなとか、そういう発見なり芽生えみたいなのを促していきたいなと。そうすると僕ら側は、この子は何が好きでどんな素材が合うのか、みたいなこともわかるので。

次は発展的に、例えばその子が旅行先でみたキリンとゾウに感動して、作りたいみたいなことになると、その中でみえてきた得意な素材なりを抽出して、自分より大きな物を作ってみようよ、ということにも展開できたらなと。

計画性みたいなことを視野に入れたプログラムを組んでいく。例えば、高校生Bさんが美大受験を考えているけど、専攻がわからない、決められない、みたいなときには、いろんなデッサン、油絵で使ってるデッサンをしてみようとか、デッサンの基礎を身につけようかみたいな感じでリンゴを描いてみるとか。途中デッサンの講義を挟んでみるとか。いろんな素材、既製品、木炭デッサンとかも織り交ぜたプログラムを組んでいくみたいな感じですね。

このBさんが実際に高校生、受験を控えたとき、国公立の美大を受験したいってなったら、受験生の特別プログラムを、これは受験用に特化したプログラムなのでまた別途説明します。これ僕が大学受験のときに描いたやつで、左が石膏デッサンで8時間くらいで描いたやつ。右が人物着彩で、これも10時間、2日くらいかけてやって。みたいなプログラムを目指す専攻なり大学に合わせた課題を設計して、がっつり、がっちり熱量かけて教えていくみたいなこともあります。

その他、中学生向けや大人向けのもざっくりと用意したり、その方々向けにプログラムを組んでいけたらなと思っています。そういういろんな熱量なりいろんな目的なり、大人の人と受験生と小学生が入り混じりながら、美術とはなんぞやとか、創作するってどういうことなんだろうみたいなことを一緒に作っていく、それが寺子屋美術部です。

ていうことで実際、プログラムの進め方について。

基本的に4ヶ月程度のスパンでテーマを設けて、第2第4土曜日とかに特別プログラムとか、その他の予定に合わせて臨機応変に自由に組んでいけたらなと。我々の都合もあったりするんですけれど。

例えば気分が乗らない日とか、作りたくないなって日は、ボードゲームをしたり、大人たちとゆっくりお話しながらやっていけたらなと思っていて、そういう生えてくる場所と環境を整うケアし続けるっていう感じです。そのことを僕は発根管理って呼んでいます。

最後に。僕らは、メンバーの楓は先生っちゃ先生だけど、教師でも先生でもなくて、僕は特にアーティストだし、自分が表現者として何かしたいし、これからも表現者になっていくことを目指して一応日々生きているので、いわゆるこう学校的に教える、みたいなことはできないんです。技術やスキルは教えられるんですけど、一緒に考えてつくるっていうことを大事にしています。

それから、僕らも間違えるし失敗するし、それでも生きるし、次はこうしたいみたいな想いを育んでいきたいなと思っていて、

自分のガクソーなり教育に関わるモチベーションは、基本的にこの子からどんなものが生えて、どんなものが出てくるのか、なんでこういうのが生えてきたんだろうとか、こんなことに興味持つんだ、みたいなのをすごい観察したい、という想いがあって。

それを自分にも生かしたいし、生かされたいし、みたいなことを思っております。そんな寺子屋美術部です。

(楓)この美術部に関しては、基本的にはちゃんと個別で対応していくっていうのがあるよね。あくまでこっちが仮に提示するという形ですね。

次はデザイン研究会について、北澤から紹介していただきます。

教育事業『デザイン研究会』

(北澤)ガクソーのやれることとして、大きくアートとデザインみたいなことを考えていて、いま新谷が話してくれたのは、寺子屋美術部、アートのジャンルの話で、今からはデザインみたいなジャンルの話です。

で、デザイン研究会と言いつつ、ほとんど観察と制作というその2つのことにこだわってやることになるのかなと思っています。観察と制作研究会でいいくらいだと思っています。

なぜデザインが必要か、っていうのは、デザインって、ポスターつくったりとかホームページつくったりとか、そういうものがデザインとか、またはデザイナーの仕事っていう風に、ともすると思われがちなんですけれど、

もうちょっと言葉の意味を広く捉えて、誰かにとってのある問題を、解決するための思考と、その表現のこと。みたいな感じで捉えています。

それはまあよくある話なんですけれど、例えば、広く市民にとってより良い公共サービスっていうのはなんだろうかって考えて実行するとか、なんか決めるとか、そういうことまで考えれば、行政とか政治のシステムとかもデザインですし、

子どもたちひとりひとりの成長に合わせて、どんなサポートとか、どんな声掛けとか、どんなケアが必要なんだろうな、ていうのを考えて実行する、みたいなのも僕にとってはデザインにみえるし、たぶんデザインだと思います。

誰かのために役に立とうとする仕組み、役に立つような機能性と、その機能が側から見てきれいだなとか、美しいなって思うようなものが、いいデザインなんだろうと。

そんなようなことを考えていて、ここですごく大切にしたいこととして、観察するっていうこと、まあ観ることですよね、世の中を観ること。あらゆる出来事、起こっている事象を観ることです。

これレオナルド・ダ・ヴィンチですけど、画家であり、医者であり、科学者であるみたいな風に思われていますが、だぶん彼ってそういう意識で医者モードで医者やってたりとか、これ今画家モードだからって言って画家みたいなことをしてたわけではないと思っていて。

普段から鋭い観察眼があって、それがどういう人に役に立ちたいかっていうときの、その表現が、たまたまお医者さんっぽい表現だったりとか、時にはこの時代のアートと呼ばれるものだったりとかしたんだろうなと。まあなんかこういうイメージです。

だから特にその観察っていうのを大事にしたいんですけど、デザインのプロセスとしては、
①観察して
②考えて
③具体化する
てとこまで、この3つのプロセスでデザインっていう風に思ってるんですけど。

例えばこれ、あらゆることに言えるんですけど、子どもたちにとって、例えば高校生で、受験でテストの点数を上げたいとか、センターの点数上げたいとか。そういうときに、自分自身を注意深く観察して何をすればいいのか考えてみるとか、対象となる教科のことをもっと観察しておもしろさを知るとか、そういうきっかけになったりもするだろうし。

ちょっと打算的ですけど、目の前にあるセンター試験の問題を注意深く観察して出題者の意図を読み取った上で解答するとか。例えばそんな訓練をしていけばテストの点数が上がる余地がある子は必ず上がると思っています。

具体的にどんな風にデザイン研究会、観察すること、制作することっていうのを進めていこうかなと思っているかというと、

観察することと、制作すること、ていうので1部2部みたいな感じで分けていこうかなと思っています。

1個目は観察することですね。これは、いいデザインってなんだろうってのを考えることとか、「観察する」の中に「見て、調べて、考える」まで入れてるんですけど、例えば身の回りの製品とか、これについて考えたいとか、事象はなんでもいいです。その対象はなんでもよくて、それはそのときのメンバーと子どもたちと話して、どんなものを対象にしようかっていうのを決めたいと思います。その上で例えば、自分が良い、これいいデザインだなって思っているものをどこが良いのかっていうのを相手に伝える、みたいなワークショップをやったりしようかなと思ってます。

一番下に書いてある、なにか一つのテーマに対して、今の現状の状態を所与の条件と捉えずに、ときには0ベースで一回考え抜いてみる、みたいなことを一回一回のテーマでしてみたいなと思います。ほんとになんでしょうね、頭が沸騰するくらい考えたいなと思ったりしています。

次に制作することについてですね。これは表現の技法みたいな話です。具体的にはAdobeのイラストレーター、フォトショップ、ライトルームの使い方を学んだりとか写真撮ってみようとか、動画撮ってみようとか、あとは文章書くみたいな、ライティングするみたいなことも表現の一つだし、デザインの1ジャンルだと捉えて一緒に学んでいくっていうその講座をつくっていきたいなと。

基本的にはこの2軸で、例えば第一第三金曜日の夕方、とか決めて、月2回くらいのペースでやりつつ、個別で相談をしてプログラムを組んでいくっていうようなことをしようかと考えています。

で、デザインてぶっちゃけなんでもデザインの文脈で切り取ることができるし、例えばこういう課題を抱えててさっていうような相談とかを僕らなりの切り口で相談に乗りつつ、じゃあこういうことをしましょうか、とかいう提案ができるようなそういう素地になればいいなと思っています。

(楓)このアートとデザインを中心にガクソーは進めていきたいと思っていて、そのアートとデザインの考え方や見方といったようなものが一緒に学んでいけたらなと。

(北澤)僕まったく別でデザインのこと考えていて、新谷は別でアートのこと考えたんですけど、大事にしたいことが視ることと創ること、と新谷は言ってて、僕は観察すること制作することって言ってて、ほぼ一緒だっていうふうになって。結局そういうことだなと思っていて。

僕らがやるのは、いま楓が言ったみたいに、観て観察して何が問題なんだっけとか、またはどんなのが理想の状態なんだっけっていうのを考える、何かしらの形で表現するっていうことです。その2つを大事にしたいなっていう感じですね。

(楓)僕らが美大出身だったりとか、建築士、作家、デザイナー、そっちの畑が多く、そこで何かしらいろいろ活動をしているので、何かそういったようなものを皆さんに寄与できないかなとは思っています。

活動紹介

2022年の主な活動

その他、当サイトで月ごとに活動の様子を月報でまとめていますので、ご覧ください。

ガクソーの利用者の声

ガクソーの利用者の声を簡単に説明します。

ガクソーを利用して視点とか考える幅が広がったりとか、いろんな人たちに出会うことで自分のしたいことにチャレンジしたいと思うようになったそうです。

で、あとは後輩たちには自分のしたいことをしてほしいなと。そのためにガクソーっていうところの人たちに相談したり、利用してほしいという熱いメッセージをいただきました。

僕らとしては、なんですかね、先生でもないので、一緒に学んでいくというか、第三者というか、第3の大人みたいなそういう形でいれたらなと思っています。

あと、先日工作サポートに参加していただいた方からお声をいただいて、気になっていたことや、いろいろな人たちや新しい友達と新しいアイデアが生まれたこと、あと楽しそうにしている様子がみれたことがなによりも嬉しい、とのご意見をいただきました。

これからもガクソーの利用者さまの声に耳を傾けて、取り組む内容なども皆さんと一緒につくり上げていきたいなと思っております。

で、ちょっとここにはいないんですけども、ガクソーには多様なメンバーがいます。デザイナー、プログラマー、建築士もいれば農業やってる者も。いろいろいたりしますので、お気軽にいろんなことを相談していただければ。僕らのまたここにはいないメンバーにも、メンバーというか知り合いの方にも繋げたりとかできますので。

で、少し寄付の話をさせていただきたいと思います。ガクソーでは、従来型の、例えばお金を直接そこに寄付する、ていうことだけではなくて、場所とか物、人とか知識そういったような寄付によって小中高生を支えていくような寄付エコノミーを目指していきたいなと思っています。

美術・アートをやるときには必ず鉛筆だったりとか絵具だったりとか紙とか、っていうのもありますし、あとは場所とか、ここ使っていいよ、この場所でなんかイベントしていいよっていうような寄付もひとつだと思います。

(北澤)この場所もほとんどそんなような感じだよね。

(楓)で僕はここで一番大事だなって思うのは皆さんの知識だと思っています。僕らが地元の珠洲の方々の例えば文化だったりとか、今僕らも勉強中というかいろいろ触れながらやっているんですけれども、やっぱ地元の方々が得た知識だったりとか、こういった知識が、僕らないしは子どもたちに共有できていくっていうのがすごく大切だなと思っていますので。

これは明らかに物とかお金には替えることはできないのでぜひそういったところで参加していただくこともそうですし、そういった本だったりとかっていうのでご支援いただけますと幸いです。

とはいっても、どうしても維持していくためにはお金等も必要ですので、ガクソーへの寄付によるご支援、左のサイトより、クレジットカードとかで寄付できたりしますのでまたご支援いただける方はよろしくお願いします。

で、公式LINEアカウントっていうのもありますので、そちらの方から最新情報だったりとか個別でのご連絡、今日は空いてるかとか、相談とかもできますので、一度1回登録していただければより連絡がスムーズかなと思いますのでお気軽にご連絡いただければと思っております。

(北澤)あと今の話の中でしっかり説明できてないところが実は2つありまして、1つは学習塾みたいなこと、今はアートとデザインの話を主にしましたけども、小学生、中学生、高校生向けに例えばちょっと国語の勉強を教えてほしいなとか、数学の勉強教えてほしいなとか、例えばちょっと苦手意識があるみたいなんだけどとか、ていうのを、じゃあその苦手意識ってなんなんだろうていうところから考えたりとか、実はおもしろさがあるよね、みたいなことを考えたりとか、そういったことも含めて教えていくとか、あった教材を探して一緒にやっていくとか。

または学校とおうちと図書館以外で勉強したいなってときには、いつでもここに来て勉強しててもいいよっていう環境を整えていきたいと思っています。

で、もちろんしっかり受験前とかにがっつり教えてほしいみたいなのももちろん相談を受け付けます。それが一つです。

それからもう一つは、こう考えるとか、なんか作るとか勉強するとか、学ぶとか、割とそういうマッチョな話が多かったかなと思うんですけど、半分はそんなことなくて、ただダラダラしたいとかそういうのはすごく大切だと思っていて。

僕がこの街にきて思ったのが、学校とおうちと、もう1箇所くらいあるのかもしれないですけど、子どもの居場所が街の中に少ないんじゃないかなと思っていて。まあ僕も長野の田舎で育ってある程度それは感じてたんですけど、ここはもっと少ないなと思っていて、当然こういろんなモノとか人とかの出会いも相対的に減るんだろうなと思っていて、出会いをむりやり、こう例えば本とか人とかに出会えって話でもないんですけど、ただダラダラするとか、ちょっと今日眠いからとか、今日お母さんと喧嘩しちゃってさ、とか、なんかそういう場にもゆくゆくこうなっていきたいなというのは思っていて。

そのために僕らも支援を受けながら勉強をしますし、そんなような想いも半分はあります。というのを最後に伝えて。

(終わり)